明々後日のビシャモンテ

双極性感情障害パンセクゲイのひとりごと

3/10 碧いうさぎと白い魔法。

碧いうさぎ 泣いているのよ

どこかにいる あなたのため。

 

雪のように真っ白で、怯えずに恐れずに、

ただ一人であることに寂しいと感じるだけのうさぎがいました。

 

しかしある日、

その白うさぎは速く慣れる魔法の白い粉を手に入れてしまいました。

 

日に日に染まっていってしまい、白くはなくなってしまいました。

 

内側から色づいてしまって、碧く染まってしまったうさぎは、

もう二度と元の色には戻れないのでしょうか?

 

白く輝く柔らかい毛皮をもったうさぎは、

キラキラとした魔法の白い粉を使い、

白くはなくなってしまいました。

 

これは、

碧く悲しい、碧いうさぎの物語。

 

 

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私の友人で碧いうさぎがいる。

 

最初は黙っていたが日に日にバレていき、

突如打ち明けてくれた。

「俺、染まってしまってるんだ。」

それを聞いても動じなかった、なぜか

もともと匿名掲示板で定期的に名前が上がっていたからである。

「もう、辞めたのかと思っていたよ」

「ごめんな。俺犯罪者なんだ...辞められないんだ...」

 

特に布教型の碧いうさぎではいなかった為、

直接的な害がないと判断した私は今までと変わらずに接していた。

 

定期的に

「白い魔法を使ってしまった。死にたい。助けて」と

私にLINEや電話がかかってくる回数が増えた。

 

それだけ重たくて、気軽に誰かに話せないようなことを

吐き出す先は、おそらく私以外いなかったのだろう。

優しくなだめて、楽しいことをしようと何度も慰めた。

 

「遊園地にいこう、おしゃれなカフェに行こう、

楽しいことなんてたくさんあるんだから。

白い魔法なんてやめちゃおうよ。頑張れない?」

私は優しく誘導した。

 

「そんな簡単に辞めれるわけないだろ!」

彼は高ぶってそういった。

 

もうこの話題には触れないでおこうと決めた。

悲しく碧く染まるたびに電話がかかってきたが

なんてことのなかったように慰めて終わらせた。

"もう辞めようよ"なんて無責任なことを言えなくなっていた。

 

 

 

いつしか、彼は開き直るようになった。

「さて問題です、直近でいつ白い魔法を使ったでしょうか?」

ニコニコしながらそう聞いてきた。

 

「昨晩でしょ。」

私はそう答えた。

 

「なんでわかったの!?わかんなくすることが目標なのに

どうしてわかったのか教えて?どうやって?」

突然焦りだす、碧いうさぎ

 

 

そんなものは簡単だ、いつも白い魔法を使うたびに

電話がかかってきていれば、周期だとか、

そういう時にどういうツイートをするのかだとか、

精神状態だとか、離脱症状だとか、

私だって多少は勉強していたし、

《嗚呼、今恐らく白い魔法を使っているんだな》と

直感で分かるようになっていたのだ。

 

 

同じ血の色をしている彼が

白い魔法で碧く染まるたびに

私は内心、距離を遠ざけていた。

 

何を血迷ったのか彼にこう言った。

「今のまま白い魔法を使い続けるのなら。

私はいつか君とは縁を切らなければいけない時が来る」

 

 

そうすると彼は

「辞めたくても辞めれないんだよ!

いいだろ別に誰にも迷惑かけていないんだから!」

 

突然、今まで見たこともないくらいに激情した。

 

 

 

「いつか、一緒に何か楽しいこと面白いことをどーんと

やろうと考えているんだ。だけれども君が碧く染まったままでは

限界が生まれてしまう。起業したって、YouTuberやったって、

君が碧く染まったままではあまりにもリスクが高すぎる。

君と一緒には何もできなくなってしまうよ。それは悲しい。」

 

丁寧に、あくまでも丁寧に誘導をした。

白い魔法を使うと具体的には体でどのような反応が起こってしまうのか

リスクとは何か、限界とは何か、将来の話だとかを語った。

 

「かなしい」

 

彼は続けた

 

「悲しいんだよ。とても悲しいし、

もし"白い魔法"を辞められなかったら縁が切れてしまうのも、

どう頑張ったって辞められないのも更に悲しい。」

 

私は、なんて答えていいのかわからなかった。

 

 

「辛くなったら魔法を使う前に連絡してくれていいんだから

少しでもまた真っ白に戻れるように、頑張ってみる気はないかな?」

そう伝えた。

 

すると

「碧く染まらずにい続けることが苦しいことを知っているから、

あなたが敵になってしまう。悲しい。」

 

 

 

 

どうすればいいのだろう?

 

 

 

 

もっと、楽しい日々を追い求めたいだけなのに。

 

 

真っ白で温かい、柔らかい日々を過ごしたいだけなのに。

 

 

頑張ることをせずに、白い魔法を使って

無理やりそんな時間を作り出したところで、

何も生まれないし、悲しみばかり増えていく。

 

それにもう君は"碧いうさぎ"になってしまったよ。

白い毛皮のうつくしい私たち、気づけば君は、

碧く、悲しい色に染まっていたよ。

 

どうやって、碧く染まった彼の世界を

真っ白に戻すことができるのだろう?

 

碧く染まってしまったものを、

いくら白で塗りつぶしても、

時間が経てばまた元に戻ってしまう。

 

どれだけ呼びかけても私の声は届かない。

 

あとどれくらい切なくなれば

私の声が聞こえるかしら?

 

 

あとどれくらい傷ついたなら...

 

 

彼は、戻って来れるのでしょうか。

 

 

白い魔法、碧く染まり、独りきりで震えながら、

淋しすぎて、死んでしまう、

 

私には暖めてあげることは出来ない。