3/27 adios京都三条
目覚め。
イベントで一緒に働いた同僚の家での目覚め。
その日初めてあった仲であったがとても優しく朝まで酒に溺れながら闘った末泊めてくれることになった。
梅田から阪急電車に揺られて何十分か、
たどり着いた京の街。三条、十字路の街。
朝方のことはよく覚えていないが夜通し動き回った疲れからか、着いた途端ぐっすり眠ってしまったみたいだ。
おはよう。
おはよう。しかしそれは最初で最後かもしれない挨拶。
こういう業界では一晩仲良くなってももう二度と合わないなんて人は沢山いるんだ。
今回もわからないが、あんまり期待もしていない、
だけととても仲良くなり、本当に楽しい1日だったことは間違いない。
泊めていただいた友人、って言ってもついさっき友人になったばかりの見知らぬ人と色々話すにつれてわかってくるものもあるんだ。
もう、引っ越ししてしまうらしい。
明日から東京へ旅立つのだそうだ。
ああ、そうなのか、そうだよね、そういう時期だもんね。
そもそも、僕は京都に住んでいるわけでもないししょっちゅう会っていたわけでもないから、そこまで名残り惜し無ものでもないことはわかっている。
それでも、寂しくないですか?
そうなんだよ、さみしいんだよ別れってのは。
二人で飯を買って家でぐだぐだ食べ終わったら
二日酔いもあってか、気づいたら僕は寝てしまっていた。
そのときにも引っ越しの業者の人が来て色々整理していたことはうっすら聞こえていた。
そう、始まって間もない別れ。
そもそも、距離としては変わらないのにねって。
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そういうもんなんだよね、出会いって。
そういう出会いって意外と多いと思うんだ。
やっと仲良くなれた、これから一緒に頑張っていけるんだ、そういう時に限ってその場を去ってしまう、どこか遠くへ異動してしまう。そんな社会なんだ。
きっとそういう仕組みになっているんだろうなって、僕も大人になるにつれてなんとなくだけど理解し始めていた。
いつになってもさよならだけは苦手だ。
一生の別れはもちろん、今日という1日が終わるということで、
また明日、バイバイ、ってそんな言葉ですら、苦手なんだ。
さようなら、こんなにも涙が溢れてくる言葉はないのかもしれない。
もう5年くらいの付き合いになる友達がいる、
僕の4,5つ年上の人だ。
今は上京して、普通に働いて、週末はドラァグクイーンとして活躍したりしてる友人だ。
まぁ、それは置いといて。
その人に昔言われたことがあることがある、
「俺も、さよならって大嫌いだし苦手なの。
だからね、見送るときは、相手の姿が見えなくなるまでずっと見届けるの。」
何気ない一言、会話の一部としての文章だったけれど
当時の自分にはひどく感動を覚えたんだ。
その日、その先輩とランチをして、楽しく終えた、
もう太陽は沈んで、道をあまり知らなかった自分は駅まで送って行ってもらった。
さぁ、お別れの時、僕は電車に乗るために階段を下りて行かなきゃいけない。
「今日はありがとうね!楽しかった!また遊ぼう!じゃあ!」
そう言って手を振って僕は階段を一段ずつ下りていった。
最後の一段から足が離れる時、
ふと、昼間に話したことを思い出した。
ちょっと勇気を出して振り返ってみた。
先輩は笑顔で僕の方を見ていた、
もう僕はこんなにも遠くを歩いているのに、
そして軽く手を振ってくれたんだ。
言っていたことを覚えていること、実行していること、
実行していることを確認することってちょっぴり恥ずかしかったけど、
あの時振り返ってみて、わかる世界があった気がしたんだ。
相手の背中が見えなくなる前にその場を立ち去るって、
照れ隠しでもあるし、急いでる場合にそんな余裕はなかったけれど、
この余裕、もとい、思いが昼間僕に教えてくれた声の記憶を通して、僕の中にフラッシュバックしたんだ。
嬉しかったし、また会いたいな、また会いに来ようって思った、
そして、また会える気がするとも思った。
極めつけは、もしこの先に再開することがなかったとしても、
ずっと大切な思い出として残っていくんだなって。
お別れの時間に対する、僕の思い出と志。
でもやっぱ、さよならは苦手だな
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話は戻る
お昼を家でだらだらと食べたら
俺はせっかくだから京都を散歩したい!と伝えた、
引っ越しの準備も一通り終わったみたいなので、
京都を案内してもらうことになった。
錦市場と言うところをメインにデートした。
(って言っても食べ歩きしただけなんですけどね)
とても美味しくて楽しかったです。
そんなこんなで帰るお時間、
そう、京都では少し雨が降り始めていた。
僕は河原町駅まで送ってもらった。
京都はまだ寒く桜はまだ蕾さえついていなかった、
今日も鴨川には等間隔でカップルや学生たちが並んでいた。
じゃあ、ここでお別れだね。駅に着いてしまった。
また、どこかで会える人を楽しみにしております、バイバイ
そう言って僕は駅の階段を下りていった。
階段を下りきって曲がり角を曲がる瞬間に、
ふと、振り返ってみた。
だいぶ長い階段だったから時間は長く感じた。
そしたら笑顔で見送ってくれる姿があった。
とても、嬉しかったし、ここで本当にお別れなんだと思った。
もう、二度と会えるかわからない友達との別れ。
人生、そういうもんだよね、そういうもんさ。笑
京都から大阪への電車はとても長く感じた。